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花粉症のステロイド注射(自費診療・国内未承認の輸入製剤)について

花粉症のステロイド注射は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の一種、トリアムシノロンアセトニドを筋肉に注射して、体全体のアレルギー反応を抑える治療です。ステロイドが全身にはたらくため、副作用に注意が必要です。花粉症の治療は飲み薬や点鼻薬などの標準的な治療が基本で、診療ガイドラインでは、この注射を日常的に使うことは推奨されていません。当院で使う製剤は国内未承認の輸入製剤で、健康保険は使えない自費診療(総額2,750円・税込)です。受けられるかどうかは、診察で医師が判断します。

ひと目でわかる要点

  • 一般名:トリアムシノロンアセトニド(ステロイドの注射薬)
  • 位置づけ:標準治療ではありません。飲み薬・点鼻薬などが基本
  • 当院で使う製剤:インドで承認されたアボット社の製品(日本では未承認)
  • 費用:総額2,750円(税込)。初めての方も同じ
  • 救済制度:医薬品副作用被害救済制度の対象外
  • 担当・予約:森山弘樹医師/月〜金の診療日/公式LINEが基本、電話も可

まずは標準的な治療から

花粉症・アレルギー性鼻炎の治療は、花粉やほこりを避ける工夫と、飲み薬・点鼻薬・点眼薬が基本です。毎年症状が強い方には、花粉が飛び始める前から薬を始める初期療法もあります。くわしくは花粉症・アレルギー性鼻炎の治療の選び方をご覧ください。当院でも、まずは保険診療での治療をおすすめしています。

ステロイド注射のしくみ

トリアムシノロンアセトニドは、炎症やアレルギー反応を抑える合成ステロイドです。水に溶けにくい成分を液に混ぜた「懸濁液」で、筋肉に注射すると少しずつ吸収されるため、作用が長く続く性質があります。国内の添付文書には、40mgを筋肉内注射したときの有効血中濃度が14〜21日間続いたというデータ(乳がんの患者さん5人)が載っています。ただし、効き方や続く期間には個人差があり、十分に症状がおさまらないこともあります。注射のあとも、症状に応じて飲み薬や点鼻薬を使うことがあります。

診療ガイドラインでの位置づけ

  • 鼻アレルギー診療ガイドライン(2024年版)の英語版では、花粉が飛ぶ前に1回筋肉内注射するステロイド注射について、鼻づまりには効果がある一方、くしゃみや鼻水への効果は限られるとしています。そのうえで、顔のむくみ、皮膚や月経の異常、注射部位の筋肉の萎縮や傷あと、副腎のはたらきの低下などの副作用のおそれから、日常的な使用には慎重な検討が求められるとしています。
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の保険医療委員会は、この成分の注射について、添付文書の効能(アレルギー性鼻炎・花粉症)は残っているものの、推奨されない治療と考えていると示しています。
  • 国内の添付文書にも、ほかの治療法で十分な効果が期待できる場合には投与しないこと、と書かれています。

当院では、標準的な治療で十分な効果が得られない場合などに、副作用やほかの選択肢をご説明したうえで、医師が受けられるかどうかを判断します。

主な副作用とリスク

国内の添付文書(2026年5月の改訂指示を含む)に記載されている主なものです。いずれも頻度は「不明」とされています。

分類 主な内容
注射した場所 痛み、出血、感染、皮膚や皮下組織の萎縮によるへこみ(陥没)、色素の変化。注射したところはもまないでください
月経・ホルモン 月経の乱れ、副腎のはたらきの一時的な低下、顔が丸くなる(満月様顔貌)
血糖・血圧 血糖の上昇(糖尿病の発症・悪化)、むくみ、血圧の上昇
感染症 感染症にかかりやすくなる・悪化する。水ぼうそう・はしかは重くなることがあります。まれに、進行性多巣性白質脳症(PML)という脳の病気が報告されています
こころ・神経 気分の高ぶり、不眠、うつ状態などの精神面の変化、頭痛、めまい、けいれん
目 緑内障、白内障
骨・筋肉 骨粗しょう症、骨頭壊死、筋力の低下
胃腸 胃の不快感、消化性潰瘍、膵炎
まれでも重いもの ショック・アナフィラキシー(息苦しさ、全身のじんましん、顔や唇の腫れなど)、血栓症

注射のあとに息苦しさ、意識がぼんやりする、全身のじんましんなどが出たときは、すぐに119番に連絡してください。それ以外でも、気になる症状があれば当院にご連絡ください。手術やけがの治療を受けるときは、ステロイド注射を受けたことを担当の医師にお伝えください。

受けられない方・診察で可否を検討する方

当院の対象は、基本的に成人の方です。次のような方は、受けられないか、診察のうえで受けられるかどうかを検討します。

  • この成分で、過去にアレルギー(過敏症)を起こしたことがある方(受けられません)
  • 男性の夜間頻尿の治療で、デスモプレシンを使っている方(受けられません)
  • 妊娠中・妊娠している可能性がある方、授乳中の方
  • 糖尿病、緑内障・白内障、高血圧、骨粗しょう症、消化性潰瘍がある方
  • 感染症(結核、真菌症、ヘルペスによる角膜炎など)がある方、B型肝炎ウイルスに感染している方
  • 心療内科・精神科に通院中の方。ステロイドは気分や睡眠に影響することがあります
  • 近いうちに予防接種(とくに生ワクチン)や手術の予定がある方

通院中の病気や飲んでいるお薬は、他院でもらっているものも含めて必ずお伝えください。お薬手帳をお持ちください。

当院でのステロイド注射(自費診療)

当院の注射は国内で承認されていない医薬品を使う自費診療のため、次の事項を明示します。

使用する薬 トリアムシノロンアセトニドの注射薬。量は40mgが基本ですが、状態により調整することがあります。注射する場所は腕が基本で、おしりに注射することもあります
承認の状況 日本の医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認医薬品です。インドで承認され、インドの医療機関で使われているアボット社の製品です
入手経路 医師が治療のために、輸入代行業者を通じて個人輸入しています。輸入にあたっては、厚生労働省の地方厚生局(関東信越厚生局)による確認を受け、輸入確認証の交付を受けています。院内で適切に保管・管理しています。個人輸入の医薬品の注意点は、厚生労働省の「個人輸入において注意すべき医薬品等について」をご覧ください
国内の承認医薬品 同じ成分・同じ濃度(40mg/1mL)の筋注用の注射薬(ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社)が国内で承認されており、筋肉内注射の効能に「アレルギー性鼻炎、花粉症」が含まれています(流通管理などの承認条件はありません)。ただし製造販売元の案内では、2025年4月から出荷が限られ、2026年4月からは通常の15%程度の出荷とされ、在庫がなくなると一時的に出荷停止となる可能性があるとしています。このため当院では、輸入製剤を使っています
諸外国での安全性の情報 同じ成分・同じ濃度の筋注用の注射薬は米国でも承認されています。米国の添付文書では、季節性アレルギー性鼻炎への筋肉内注射は、標準的な治療を十分に行っても抑えられない重いアレルギー症状で、飲み薬が使えない場合に使うとされています。注意すべきこととして、死亡例を含むアナフィラキシー、肩の筋肉への注射で多い皮下組織の萎縮、副腎のはたらきの低下、感染症、目や精神面への影響などが記載されています。当院で使うインドの製品そのものについて、欧米の主要国での承認や安全性の情報は確認できていないため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります
期待される効果と限界 花粉症・アレルギー性鼻炎の症状を抑えることを目的としますが、十分な効果が得られない場合があります。効き方や続く期間には個人差があります
主なリスク・副作用 月経の乱れ、血糖の上昇、感染症、注射部位のへこみ、副腎のはたらきの低下、気分の変化など。くわしくは上の「主な副作用とリスク」をご覧ください
救済制度 未承認医薬品のため、重い副作用が起きた場合でも、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません
費用 総額2,750円(税込)。内訳は、薬剤費2,000円と自費診察料500円(いずれも税抜)です。初めての方も同じ金額です。健康保険は使えません
保険診療との関係 注射は自費診療で、保険診療とは分けて行います
回数と間隔の目安 1シーズンに2〜3回程度、間隔は3週間くらいが目安です。回数は、症状と副作用を見ながら医師が判断します
時期 スギなどの花粉の時期だけでなく、一年中のアレルギー性鼻炎にもご相談いただけます
在庫 在庫の状況は、公式ホームページのお知らせなどでご案内します。ご予約の前にご確認ください
同意書 注射の前に、説明・同意書の内容をご説明し、署名をいただきます
担当・予約 森山弘樹医師が担当します。平日(月〜金)の診療日はいつでも対応しており、ほかの診療と同じです。ご予約は公式LINEが基本で、お電話(043-312-3201)でも承ります

受診について

  • 紹介状がなくても受診できます。
  • 診療時間は月〜金 9:00〜12:00/13:00〜17:00。土・日・祝は休診です。
  • 舌下免疫療法と抗IgE抗体の注射は、当院では行っていません。必要な方には耳鼻咽喉科などをご案内します。

よくある質問

Q. 花粉症のステロイド注射は、保険はききますか?
A. 当院の注射は国内未承認の輸入製剤を使うため、健康保険は使えない自費診療です。費用は総額2,750円(税込)で、初めての方も同じです。
Q. 1回の注射で、シーズン中ずっと効きますか?
A. お約束はできません。効き方や続く期間には個人差があり、十分な効果が得られないこともあります。当院では、1シーズンに2〜3回程度、3週間くらいの間隔が目安です。症状が残る場合は、飲み薬や点鼻薬もあわせてご相談ください。
Q. どんな副作用がありますか?
A. 注射した場所のへこみ、月経の乱れ、血糖や血圧の上昇、感染症にかかりやすくなる、副腎のはたらきの一時的な低下、気分や睡眠の変化などがあります。まれに、アナフィラキシーなど重い副作用が起きることもあります。未承認医薬品のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
Q. 国内で承認された薬はないのですか?
A. 同じ成分・同じ濃度の筋注用の注射薬が国内で承認されていますが、製造販売元の案内では、2025年4月から出荷が限られています。このため当院では、インドで承認された輸入製剤を使っています。
Q. 毎年受けても大丈夫ですか?
A. 鼻アレルギー診療ガイドラインでは、この注射を日常的に使うことには慎重な検討が求められています。毎年症状が強い方は、花粉が飛ぶ前から薬を始める初期療法などもあわせて医師とご相談ください。
Q. 妊娠中や持病がある場合は受けられますか?
A. 対象は基本的に成人の方です。妊娠中・授乳中の方、糖尿病や緑内障のある方、心療内科・精神科に通院中の方などは、診察のうえで受けられるかどうかを検討します。
Q. 予約はどうすればよいですか?
A. 公式LINEが基本です。お電話(043-312-3201)でも承ります。担当は森山弘樹医師で、平日(月〜金)の診療日に対応しています。在庫の状況は公式ホームページのお知らせなどでご確認ください。

このページは一般的な情報です。診断や治療は、診察で一人ひとりの状態をうかがって判断します。

出典

花粉症・アレルギー性鼻炎の治療の選び方や、この注射についてのくわしい解説は、こころの相談ガイド「花粉症のステロイド注射」でもご案内しています。